田川の祭りの歴史や成り立ちについてご案内します。これから色々記事を配信していきますので、お楽しみに。
神幸祭の郷、田川
「神幸祭」という祭りをご存じでしょうか?田川地域では、四月から五月にかけて三十を超える神幸祭が行われます。祗園祭も同時期に行われ、五穀豊穣と悪疫退散の祈りが捧げられます。
神幸祭とは、神の御幸が行われる神社の祭礼をいいます。神輿には神霊の宿る御神体がのり、氏子の住む地域を巡った後に御旅所に泊まり、その後、神社に戻ります。神社や御旅所では獅子舞や稚児舞、神楽などが奉納されることもあります。
御旅所への神輿渡御を「お下り」といい、神社への還幸を「お上り」といいます。神幸行列では、神職や威儀物(御幣や幟など)を携えた氏子達が従い、神輿の屋根には鳳凰や宝珠が飾られます。祗園信仰と融合して、山笠(山車)や獅子などを伴う地域もあります。
田川地域は添田町・香春町・福智町・大任町・川崎町・赤村・糸田町の田川郡と田川市で構成されます。神幸祭は英彦山神宮の神幸祭に始まり、今川・彦山川・金辺川・中元寺川の流れに沿って各地で行われていきます。そして最後は、田川伊田駅前の風治八幡宮と白鳥神社(白鳥町)による川渡り神幸祭、そして翌週の田川後藤寺駅近くの春日神社における神幸祭で締めくくられます。神幸祭が終わると本格的な田植えのシーズンを迎え、田川に初夏が到来します。
山笠がガブる郷、田川
田川地域の特徴として、八幡神社が多いことが挙げられます。これは田川が旧豊前国であり、八幡宮の総本社である宇佐神宮が豊前国の一宮であったことにも由来します。筑前には天満宮が多く、宇佐神宮と安楽寺(太宰府天満宮)が九州を二分する荘園領主となりました。筑豊地方の中心地である飯塚・直方・田川の中でも、田川だけが旧豊前国に属しています。
祗園精舎の守護神とされた牛頭天王は素戔嗚尊(須佐之男命)と習合し、祗園信仰となって山笠が祭りで飾られます。
神幸祭に伴う場合もあれば、祗園山笠として須佐神社で奉納される場合もあります。 田川地域の山笠(山車)の特徴は、稲穂を模した馬簾と呼ばれる五色の飾りです。古代日本の主食である米・麦・粟・豆・稗の五穀を意味し、青・赤・白・黒(紫)・黄の色で表されます。山笠(山車)を上下に激しく揺らす「がぶり」という動作も一つの特徴です。
山笠には車輪が付いて人が引く「曳き山」や、人が担ぐ「舁き山」があります。
博多祗園山笠に代表される筑前系の人形山に対し、豊前系は今井祗園(行橋市)や生立八幡神社(みやこ町犀川)に見られる幟山が主流です。北部九州の祗園信仰は、京都の八坂神社から今井津(行橋市)の祗園社(今井祗園)を経由して広がり、祓川や今川の水運を通じて田川に伝播したと考えられます。
今井祗園では、男子の稚児を神として山車に乗せる「八ツ撥行事」が行われていましたが、現在では残念ながら執り行われていません。稚児による行事は京都の祗園祭が有名ですが、赤村の神幸祭では「気遣取り」と呼ばれる稚児による行事が今でも続けられています。これは、古い文化が今でも田川に息づいている貴重な事例です。
獅子舞と神楽の郷、田川
「獅子が舞わねば神輿が動かぬ」といわれるほど田川は獅子舞が盛んな場所であり、伎楽系と祓い系のものがあります。
大分八幡宮(大分系)の獅子舞も、田川地域と旧嘉穂郡に影響を与えています。英彦山の獅子舞も優雅で「三度がえり」が圧巻です。祓い系の典型で古式の様相をもつ五段六調子の位登の獅子舞も見物です。
神楽とは神と人とを結ぶ祈りの舞であり、宮中に伝わる御神楽とそれ以外の里神楽に分けられます。
田川市春日神社の岩戸神楽は、豊前系の里神楽に、筑前系の神職神楽が混入した特異的な伝承形態を持つ神楽として注目されており、豊前神楽の一つとして国指定重要無形民俗文化財に指定されています。添田町の津野神楽も平成二十九年五月に国指定重要無形民俗文化財に加わり、神幸祭で夜神楽が奉納されています。大内田神楽も赤村を代表する伝統芸能であり、迫力のある舞いが繰り広げられます。
今回ご紹介させて頂いた「田川の祭り」は、ほんの一部に過ぎません。田川には、魅力ある祭りが沢山あるのです。
田川では、多くの伝統芸能が先人から引き継がれ、子供達に「祭り文化」を継承しています。田川に来て、田川を見て、田川に触れて、ぜひ田川を「 彩 発見!」して頂けたら幸いです。
近代には炭鉱で栄え、炭坑節の発祥地となった田川の郷。この地には「青春の門」で有名となった香春岳や九州の霊峰英彦山、深倉峡の清流など自然で満ちあふれています。近隣の「道の駅・物産館」では、新鮮な食材や工芸品などショッピングを楽しんだり、食事を堪能することができます。また、大地の恵みである「温泉」も楽しめます。
田川市石炭・歴史博物館には、ユネスコの世界記憶遺産(世界の記憶)となった山本作兵衛翁の炭坑記録画が展示され、石炭産業の歴史から田川の歴史と民俗まで学べます。田川市美術館では郷土の美術を広く紹介し、年に数回大きな企画展を行っています。
景行天皇・日本武尊 伝承や仲哀天皇・神功皇后 伝説があり、最澄も関わった上伊田廃寺(天台寺跡)や平清盛が築かせたとされる岩石城、足利尊氏に縁のある興国寺も見所です。測量で活躍した伊能忠敬の足跡もあり、田川は『自然と歴史と文化の香るまち』なのです。
『 ぜひ田川においで下さい!』